レスベラトロールのサーチュイン遺伝子活性化がもたらす長寿効果

人間を含む全ての生き物は、細胞の死滅を防ぐ効果のある「サーチュイン遺伝子」という長寿遺伝子を持っています。
ちなみに、ヒトのサーチュイン遺伝子は、7種類あります。

サーチュイン遺伝子を発見したのは、マサチューセッツ工科大学生物学部のレオナルド・ギャランテ教授で、サーチュイン遺伝子を使った実験により、ショウジョウバエや線虫の寿命を30〜50％延ばすことに成功しています。

生物が老化する要因としては、ミトコンドリアが排出する活性酸素や、免疫細胞の暴走などがあると考えられていますが、サーチュイン遺伝子を活性化することにより、100近くの老化要因を抑制できるとされています。

しかし、サーチュイン遺伝子は、普段休眠している状態では活動しません。

うまくサーチュイン遺伝子を活動させることができれば人間の平均寿命を100歳以上にすることも可能だといわれています。

しかし、サーチュイン遺伝子を活動させるためには、摂取カロリーを抑えたり、運動する必要であることがわかっていますが、現在社会でカロリー制限を行うことは、そう容易なことではありません。

しかし、最近の研究で、レスベラトロールにサーチュインを活性させる効果があることがわかり、2006年には、雑誌「Nature」で、レスベラトロールがマウスの寿命を延ばしたことが発表されました。

高脂肪の料理を食べているにも関わらず、赤ワインを毎日グラス飲むフランス人は、心臓疾患や動脈硬化、アルツハイマーが少なく、この現象は「フレンチパラドックス」と呼ばれていますが、その健康効果の正体は、赤ワインの中に含まれるレスベラトロールであるといわれています。

また、米国のSirtris社が開発したレスベラトロールを糖尿病患者に投与する試験を行ったところ、血糖値が低下したという事実も報告されています。

レスベラトロールの効果とは?(長寿命・がん予防・認知症予防など)

レスベラトロールは、ぶどうなどに含まれるポリフェノールの一種です。
ポリフェノールは、植物が紫外線、病原菌、害虫などから身を守るために作り上げた成分で、お茶に含まれている「カテキン」やブルーベリーの「アントシアニン」もポリフェノールの一種です。

レスベラトロールは、1939年に北海道帝国大学の高岡教授によってバイケイソウから発見され、レゾルシノール構造を持つことに由来して命名されました。

レスベラトロールには、長寿遺伝子サーシュインの活性化を含め、次のような効果が期待されています。

■ アンチエイジング ■

レスベラトロールには、肌の老化の原因となる活性酸素を除去し、新陳代謝を活発にし、シミ・シワ・たるみを予防する効果があります。

■ がんの予防 ■

1997年、アメリカの科学誌にレスベラトロールの抗がん作用に関する論文が掲載されて以来、世界各国でマウスによるさまざまな実験が行われ、その抗がん効果が確認されています。

■ 放射能から体を守る ■

アメリカの腫瘍学者が、米国放射線腫瘍学会において、レスベラトロールに放射線障害から体を守る効果があることを発表しています。

■ メタボリック・シンドロームの予防 ■

レスベラトロールには、脂肪の蓄積を減少させる効果があるため、内臓周辺に脂肪が溜まるメタボリックシンドロームを予防する効果もあります。

■ 認知症の予防 ■ 

レスベラトロールには、脳内の「海馬」という記憶や学習を司る部分にある神経細胞を再生する効果が期待されています。

■ 心血管関連疾患の予防 ■

レスベラトロールは、赤ワインに含まれることから、心血管関連疾患の予防効果と関連があると考えられています。

レスベラトロール・サプリメントの選び方の重要ポイントとは?

レスベラトロールは、ぶどうの果皮、赤ワイン、多年草の植物である「イタドリ」に多く含まれていますが、いずれも大量に摂取するのは困難（ワインの場合、毎日100本以上飲むことが必要）なため、サプリメントで効率よく摂取することになります。

日本では、レスベラトロールがサプリメント化されたのはごく最近のことなので、店頭で販売されている種類はまだ少なく、インターネットなどの通信販売をうまく利用する必要があります。

レスベラトロール・サプリメントには様々な種類がありますが、次のようなポイントを重視して選ぶことが大切になります。

■ 余分な添加物が含まれていないものを選ぶ ■

防腐剤・香料など余分な添加物を含んでいる商品は、なるべく避けるようにしましょう。レスベラトロール含有量ができるだけ多い商品を選ぶことが重要です。

■ 第三者機関で評価されているものを選ぶ ■

製造・販売メーカー以外の第三者機関によって安全性・効果が確認されているレスベラトロール・サプリメントを選ぶようにしましょう。

■ 医師が勧めるものを選ぶ ■

成人病予備群などで医療機関にかかっている方は、おすすめのレスベラトロールを医師に訊いてみるのも良いかもしれません。
レスベラトロール・サプリメントの中には、医師と共同で開発された商品もあるからです。


ちなみに、レスベラトロールのサプリメントで有名なのは、レスベラトロールを専門的に取り扱っている、日本レスベラトロール株式会社が販売している商品です。
最も売れているのは「ハイブリッドレスベラＴ」で、元サッカー日本代表の釜本氏が愛飲していることでもよく知られています。

レスベラトロールなしでサーチュイン遺伝子を活性化させる方法

アンチエイジング効果を発揮する長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子は、飢餓状態にあるときに活性化することがわかっています。
そうしたレスベラトロールの特性に着目したサーチュイン遺伝子活性化術をいくつか紹介させていただきます。
これらの方法を実践すれば、レスベラトロール・サプリメントに頼らなくても、サーチュイン遺伝子を活性化させる効果が期待できます。

■ ファスティング(断食) ■

完全な断食は難しいですが、週に一度夕食を抜くだけでもサーチュイン遺伝子は活性化することがわかっています。
話題となった著書『「空腹」が人を健康にする』で「南雲式ダイエット」を提唱したドクター南雲氏は、一日一食しか摂らないことでサーチュイン遺伝子を活性化させ、５０代になっても３０前後の外見を維持し、アンチエイジングに関心を持つ多くの方の注目を集めています。

■ 適度な運動 ■

本格的な運動でなくても、階段の上り下りや毎朝のラジオ体操を心がけるだけで、サーチュイン遺伝子を活性化させる効果があります。

■ 摂取カロリーのカット ■

カロリーを70〜80％カットしつつも必要な栄養素は満たされているという食事を続けると、サーチュイン遺伝子が活動することがわかっています。
通常の摂取カロリーから25％制限した食事を7週間続ける実験を行った結果、サーチュインの数値は2〜4倍に増えるという注目すべき事実がわかりました。
４０代以上の方でも十分効果は現れるので、食事の際は「腹八分目」「腹七分目」を心がけましょう。

■ 適切な睡眠時間 ■

サーチュイン遺伝子を最も活性化させる睡眠時間は、7〜8時間といわれています。

■ １時間程度の空腹状態維持 ■

空腹を感じてもすぐに食べ物を口に入れず、1時間程度空腹状態をキープすることも、サーチュイン遺伝子活性化のためにたいへん効果的です。